PTBによるパチンコホールのための統一会計基準
PTBによるパチンコホール統一会計基準
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【目次】
PTBによるパチンコホール統一会計基準の設定について
- PTBの目的とPTBによるパチンコホール統一会計基準の関係
- PTBによるパチンコホール統一会計基準の性格
- パチンコホール営業の基本的考え方
- パチンコホールの営業
- 背景
- パチンコホール業界特有の営業取引
- 三店方式
- プリペイドカードシステム
- 貯玉システム
- 法的規制
- パチンコホール業界特有の営業取引
- パチンコホール特有の設備等
- 遊技機
- ホールコンピュータ
- 玉貸機
- 計数機
- 景品POS
- 島設備
- 会員管理システム
- 会計基準の要点と考え方
- 売上計上基準
- プリペイドカード取引
- 貯玉
- 遊技機の取得支出
- リース資産
- 売上原価
- PTBによるパチンコホール統一会計基準
- 売上
- 売上計上基準
- 売上原価
- 定義
- 構成要素
- 景品原価
- 労務費
- 遊技機関連費用
- 設備費
- 運営経費
- その他売上原価
- プリペイドカード
- 自社発行型プリペイドカードの会計処理
- 第三者発行型プリペイドカードの会計処理
- 貯玉
- 用語の定義
- 貯玉による債務の認識
- 再プレイ時の会計処理
- 遊技機
- 取得時の会計処理
- 容認規定採用時の会計処理等
- 取得価額の構成要素
- リースによる取得
- リースによる取得:容認規定採用時処理
- 実施時期
- 売上
PTBによるパチンコホール統一会計基準の設定について
- PTBの目的とPTBによるパチンコホール統一会計基準の関係
PTBはパチンコホール企業の社会的地位向上を目指す業界外の有識者・専門家による組織であり、社会に信頼と安心を提供できるパチンコホールの経営を仕組みとして確立することを目的とする。
パチンコホール企業が社会に信頼と安心を提供するための重要な要素として、経営の透明性の確保がある。このための手段として適切な会計情報の作成・開示が不可欠である。しかしながら会計処理及び表示において、PTB社員会社間においても現状は不統一であり、会計情報の信頼性の向上及び同業他社との会計情報の比較を困難にしている。
そこでPTBは、パチンコホール企業の信頼と安心を提供する仕組みの一つとしてパチンコホール企業の会計処理及び表示の基準を設定した。
- PTBによるパチンコホール統一会計基準の性格
本基準は、パチンコホール企業の会計処理及び表示等について、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行を基本に、パチンコホール業界特有の取引及び環境を斟酌し、実務の中から慣習として発達したものの中から帰納要約したものである。
このため本基準は法律ではないものの規範としてPTBによる監視調査及び職業的会計士による監査を行う際の判断の基準となる。
また本基準は、将来的にはPTB社員会社ばかりではなく、多くのパチンコホール企業に会計基準として認められ、適用されることを目標とする。
- パチンコホール営業の基本的考え方
- パチンコホールの営業
パチンコホール企業の運営するパチンコホールは、パチンコ遊技機及びスロット遊技機(以下、「遊技機」という。)とこれを稼動させるための諸設備を設置した店舗である。パチンコホールの営業は、遊技機並びにこれを稼動させるための諸設備を設置した店舗において、顧客に遊技機を遊技させる目的で、遊技に必要なパチンコ玉又はスロットコイン(以下、「遊技球」という。)を貸し出し、顧客の遊技の結果に従い景品と交換することにある。よって、遊技業は、店舗設置・装置型レジャーサービス業と位置付けられる。
- 背景
- パチンコホール業界特有の営業取引
パチンコホールの営業は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風適法」という。)」及び省令・解釈指針等の規制を受けることから、この規制に適合するため、パチンコホール業界で形成された取引慣行、パチンコホール業界の健全化などの事由から導入された取引は、次のようなものがある。
- 三店方式
パチンコホールの営業において、顧客は遊技の結果として得られた遊技球を景品と交換する。この景品を換金する仕組みが「三店方式」である。「三店」とは、パチンコホール、景品交換所、景品業者の3つを指し、パチンコホールが顧客に景品を渡し、顧客がこの景品を景品交換所に売却し、現金化する。景品交換所はこの景品を景品業者へ売却し、景品業者がパチンコホールに納入するというものである。
「風適法」に従うと、顧客が遊技の結果、手許に保有する遊技球については、現金並びに有価証券に交換することは禁止され、かつ、遊技球の店外持ち出し、景品の買戻しが禁止されている。
この法規制のため、パチンコホールは海外のカジノ、国内の競馬、競輪、競艇のようにゲーム結果により現金の払戻しを行うことができない。これを法規制の枠内で遊技の結果を換金化する仕組みとして遊技業界で形成されたものが「三店方式」である。
- プリペイドカードシステム
パチンコホール業界の現金流入額の不透明性(インの問題)を解消する目的で導入されたのが、カードリーダー式パチンコ遊技機(CR機)である。パチンコホール向けカード会社が、プリペイドカードの発行・販売、カード販売・カード使用等の情報端末の貸出とプリペイドカードに係るデータ管理(エンコード:遊技球等の貸出金額を符号化し管理する)を行うことで、客は、カードリーダー式パチンコ遊技機を遊技する際の遊技球の貸出金額をパチンコホール以外の第三者が把握するという仕組みである。カードリーダー式パチンコ遊技機は、カードリーダーユニットというデータ管理用端末と結合させねば動作しないため、パチンコホールがカードリーダー式パチンコ遊技機を導入する場合は、このプリペイドカードシステムの導入は不可避である。
導入当初は、磁気式カードシステムを使用する第三者発行方式と単一形態であったが、委託販売方式、自社発行方式(データ管理のみをシステム会社が受託する仕組み)などプリペイドカードシステム自体の相違、システム会社との契約形態の相違など多様化している。
なお、最近では、会員カード機能を有するプリペイドシステムも普及し、プリペイドカード用台間玉貸機がスロット遊技機の台間玉貸機としても使用されている。
- 貯玉システム
換金行為の減少、端玉の適正化を目的で導入されたのが、貯玉システムである。パチンコホールが貯玉システムを導入すれば、顧客はパチンコホールの会員になることで、遊技の結果である手持ち遊技球を景品に換えず、パチンコホールに預けることが可能となる。この遊技球をパチンコホールに預けることを「貯玉」という。銀行への預金と同様に、遊技球をパチンコホールへ預けたり、引き出したりすることができることから名づけられた。
当初は景品交換を前提にしていたが、顧客が貯玉を引き出し、遊技に使用できること(これを再プレイという)が可能となった。なお、遊技球の保管書面の発行禁止(風適法 解釈運用基準9(2))により、貯玉数を表示する書面、例えば、保管証明や預り証を発行することができない。
貯玉は、パチンコホールの営業に不可欠な要素ではなく、貯玉制度を導入するか否かはパチンコホールの判断によるものである。この立場からパチンコホールにとっての貯玉は、顧客の遊技球の貯蔵を認め、パチンコホールが設定したルールに従い将来の景品交換や再プレイを可能とするものである。
- 三店方式
- 法的規制
パチンコホール(風適法の条文においては「遊技場」という。)の営業には、「風適法」による規制を受ける。「風適法」による規制の例としては、次のようなものがある。
- 遊技場の営業を行うためには、各都道府県公安委員会の許可を得なければならない。(風適法第3条)
- 遊技場店舗の構造・設備の規制(風適法第12条、同第14条、同15条)と構造・設備を変更する場合の承認・届出(風適法第9条)
- 営業時間の制限(風適法第13条)
- 遊技料金等の規制(風適法第19条)
- 現金・有価証券の賞品としての提供の禁止(風適法第23条)
- 賞品の買取りの禁止(風適法第23条)
- 遊技球の店舗外への持ち出し禁止(風適法第23条)
- 遊技球の保管書面の発行禁止(風適法 解釈運用基準9(2))
- 営業許可の取消し並びに営業停止(風適法第8条)
以上のように、パチンコホールの営業に関しては、店舗の開設に関する営業許可から営業行為に至るまで、規制や罰則がある業種である。
- パチンコホール業界特有の営業取引
- パチンコホール特有の設備等
パチンコホールの営業取引に関する特有の設備等として次のようなものがある。
- 遊技機
遊技機は、パチンコ遊技機とスロット遊技機(「風適法」では回胴式遊技機という)がある。「風適法」では、「著しく客の射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置してはならない」という遊技機の基準があり、国家公安委員会規則に「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」が定められている。パチンコホールが遊技機を設置する際に、公安委員会の承認が必要であるため、公安委員会がこの基準に従った遊技機であるか検査することが必要となる。パチンコホールが各々検査を申請し、公安委員会がこれを検査することは、申請者側、承認側双方とも実務上困難であることから、製造業者が申請する検定・認定の制度が設けられた。
国家公安委員会規則「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」の変更によりこの基準に抵触する場合は、パチンコホールは当該遊技機を設置し続けることができなくなる。また、検定・認定には有効期間があり、有効期間が切れた時から、国家公安委員会規則「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」に抵触する違法機となるため、当該遊技機を設置し続けることができなくなる。
よって、パチンコホールが遊技機を設置する場合には、有効期間のある検定・認定された遊技機を選定せねばならず、かつ、国家公安委員会規則「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」が変更(強化)された場合、遊技機の有効期間が切れた場合は、遊技機の物理的な使用が可能であっても、会社の意思とは無関係に除廃却が必要となる。
- ホールコンピュータ
パチンコホールの営業状況を把握するため、遊技機並びにその周辺設備を流れる遊技球の数を中心に情報を把握するコンピュータである。ホールコンピュータは製造会社により独自性があり、接続可能な営業設備の種類や利用可能なデータの範囲が異なる。
- 玉貸機
顧客に遊技球を提供するために設置されている自動販売機である。遊技機に隣接する形式を「台間玉貸機」といい、カードリーダー式用、現金用、カードリーダー式と現金の兼用とある。
- 計数機
遊技の結果、顧客の手許に残った遊技球の数を計数し、その結果を表示したレシート又はカードを発行する機械である。
- 景品POS
計数機により発券されたレシート又はカードを読み込み、顧客に提供した景品を管理する情報端末である。小売店等で導入されるPOSは、商品の入出庫数量を把握し、先入先出法、平均法など所与の方法による払出単価計算の計算を行うが、遊技業におけるPOSは、景品の玉数管理を主たる機能として設計されているため、数量管理は可能であるが、登録可能アイテム数の上限が低く、また、先入先出法、平均法などの払出単価計算はできない。
- 島設備
パチンコ機を設置し、稼動させるための遊技球補給装置が用意された台枠をいう。通常、台間玉貸機が設置されているため、現金回収のための設備がある。現金回収設備は、単純に台間玉貸機から回収される現金を入れるボックスがあるタイプと、台間玉貸機から回収される硬貨が紙幣と硬貨を替える両替機と繋がっているタイプがある。
なお、スロット遊技機用は架台と言われる。
- 会員管理システム
貯玉を実施するためには、貯玉を希望する顧客とその貯玉数を把握する仕組みが必要となる。流通業等におけるポイントカードのように貯玉数を証明する保管証明等を利用する手法も考えられるが、保管証明等を発行することは「風適法」により禁止している。これらの管理のために顧客をリピーターとして囲い込むための会員管理システムが利用されている。
- 遊技機
- パチンコホールの営業
- 会計基準の要点と考え方
- 売上計上基準
パチンコホールは、店舗に設置した遊技機を顧客に遊技させる目的で、遊技球を貸し出し、顧客は遊技の結果に応じて景品と交換することを業として行っている。このパチンコホールの営業取引を会計処理する場合、遊技場の役務提供の捉え方の相違から、次の考え方がある。 顧客が遊技球を貸し出した時点で売上を認識し、貸出しの対価である金額をもって売上高を測定する考え方(以下「グロス方式」という)と顧客が景品を交換した時点で売上を認識し、貸し出しの対価である金額から顧客に提供した景品の取得原価を控除した金額をもって売上高を測定する考え方(以下「ネット方式」という)がある。
グロス方式の論旨は以下のとおりである。
パチンコホールには、顧客に遊技球を貸し出した時点で、現金(及び現金同等物)の流入がある。また、顧客に提供する景品は外部から購入しており、現金の流出がある。これら現金の流入・流出を会計上表現することが、パチンコホールの営業取引の活動実態を適確に表現することとなる。
「風適法」の規定から遊技球は店外に持ち出すことができず、店内のみで流通する。よって、顧客が遊技球を借り受ける行為は、遊技を行う意思表示であり、一方、パチンコホールが顧客に遊技球を貸し出した行為は、遊技機使用を許諾したと捉えられる。遊技球の貸出料金(単価)は店舗内に明示されており、顧客によって貸出料金(単価)は異なることはない。また、この時点で、顧客とパチンコホールの双方とも遊技球の返却は予定されておらず、収入金額は確定している。
パチンコホールの営業形態ゆえ、顧客の遊技球の貸し出しと、その遊技結果である景品の交換は個別に把握することが不能である。ネット方式は景品交換が完了した時点で売上を認識するため、今日普及している貯玉システム、特に再プレイを考慮すると、遊技球の貸し出し日では、売上が確定しないこととなる。
パチンコホール業界において、顧客に遊技球を貸し出した時点で売上を認識し、貸出金額を以って売上金額を測定する方法が、会計慣行として定着している。
一方、ネット方式の論旨は以下のとおりである。
パチンコホールの営業は、顧客の90%以上が三店方式により景品の現金化を行っているという事実に着目すると、顧客の現金から開始し顧客の現金へ帰着することがパチンコホールの役務の実態であるといえる。よって、遊技球の貸し出し時点では、パチンコホールの役務が完了していない。
パチンコホールの遊技球への貸出金額は、同一の営業利益を得る場合であってもパチンコホールの営業方法により異なる。グロス方式の場合、営業方法の相違により売上高が異なることとなり、パチンコホール間の比較可能性を害する。また、パチンコホール業界の経営管理上の指標として、稼動率とネット方式の売上高が重要視されることから、経営管理上もネット方式が望ましい。
米国公認会計士協会のゲーム業特別委員会が、カジノの会計処理基準を公表している。このゲーム業特別委員会は、カジノにおける売上高は「遊技から得た利益、即ち、勝ちと負けとの差額であって賭け金総額ではない」と定義している。カジノにおけるチップが遊技球と同一の性質を持つとはいえないが、両者の機能には多くの類似性が認められることも事実である。
グロス方式とネット方式を検討した結果、パチンコホール企業の活動実態を表現する上で、現金の流入・流出という事実は企業活動の開示上重要な事項である。顧客に対し遊技球の貸し出しという事実により収入金額は確定しており、パチンコホール業界において会計慣行として定着していることから、グロス方式による売上計上を採用することとした。
- プリペイドカード取引
パチンコホール業界におけるプリペイドカードは、カードリーダー式パチンコ遊技機の遊技をする際に不可欠なものであり、顧客は所定の金額のプリペイドカードを購入し、これをカードリーダー式パチンコ遊技機と結合されたカードリーダー用台間玉貸機に投入することで、遊技球を借り出すことができる。このため、厳密には、顧客の現金の投入時点と遊技球の貸し出しの時点が異なる。
プリペイドカードを介した取引では、売上計上基準との整合性から、顧客へプリペイドカードの残度数と交換に遊技球を貸し出した時点をもって売上を認識し、この対価である貸出金額を以って売上金額を測定する。プリペイドカードの販売により得た収入金額のうち未だ遊技球を貸し出していない金額については、将来の売上の対価として負債に認識する。
パチンコホール業界におけるプリペイドカードの歴史は、プリペイドカードの販売とエンコードを目的に、同一カード会社であれば、店舗を問わず使用可能な磁気式プリペイドカードに始まる。このプリペイドカードは、カード会社がブラックボックスという情報管理用装置とターミナルボックスという情報通信端末をパチンコホールに貸し出し、パチンコホールは、プリペイドカード発券機とプリペイドカード用台間玉貸機・カードリーダーユニットを購入し、設備を整えた上で、パチンコホールがカード会社からプリペイドカードを券面額に発行手数料を加えた金額で購入し、このプリペイドカードを顧客に券面額で販売し、パチンコホールはカード会社にプリペイドカードの使用金額(遊技球等の貸出金額)を請求する仕組みであった。
このプリペイドカードの仕組みは磁気式プリペイドカードが持つ不正改造に対する脆弱性から不正カードの大量発生により、発券時に店舗データやカードを特定するデータを書き込み、カードリーダーユニットが同一店舗でカードの特定情報の一致がなければ、プリペイドカードによる遊技球等の貸し出しがされないセキュリティー機能を加えることとなった。これによりパチンコホール業界のプリペイドカードはハウスカード化した。
このプリペイドカードシステムは、カード自体の発行形態としてはパチンコホールからみて発行者はカード会社にあり、第三者発行型プリペイドカードシステムである。
その後、パチンコホールが顧客のカード購入の都度、発券する自社発行型のプリペイドカードシステムを採用するカード会社が現れる。このプリペイドカードシステムにおいてカード会社はエンコード機能とシステム保守を行うこととなった。エンコード機能を前面に押し出し、プリペイドカードが投入されていれば、台間玉貸機において現金が投入可能なカードリーダーユニットを使用する方式が登場し、これを進めて金額設定随時可能で、プリペイドカード自体がリサイクル可能、貯玉・会員管理システムの機能がついたプリペイドカードシステムが登場した。
上述のように、パチンコホール業界におけるプリペイドカードは、第三者発行型と自社発行型に分かれる。第三者発行型プリペイドカードは、プリペイドカードを購入した債務、プリペイドカードの消費による債権、未販売のプリペイドカードという資産が発生する。これに対し自社発行型プリペイドカードは、カード用の用紙などの貯蔵品が存在するものの、プリペイドカードの購入やその消費による債権は存在しない。よって、パチンコホール業界におけるプリペイドカードを単一の会計処理によることは、債権債務の認識の観点から望ましくない。
当初登場したプリペイドカード会社は、カードリーダー式パチンコ遊技機の普及とともに契約数を増加させたため、ランニングコストの少なさ、セキュリティの問題から自社発行型プリペイドカードシステムへの普及が進んでいるとはいえパチンコホール業界としては主流と判断される。
よって、パチンコホールが採用するプリペイドカードの方式に従い、自社発行型プリペイドカードの会計処理と第三者発行型プリペイドカードの会計処理の各々を設置することとした。
- 貯玉
貯玉とは、顧客が遊技の結果得た遊技球を、景品に交換せず、パチンコホールに遊技球を預ける行為をいう。銀行へのお金を預け入れるように、遊技球をパチンコホールに預けることから貯玉という。「風適法」によりパチンコホールは客の遊技球を預ることも、これを証明する書類を出すこともできないため、パチンコホールが第三者管理機関による貯玉システムに加盟し、貯玉を希望する顧客は、パチンコホールの会員になることで、この貯玉システムを使用することができる。
貯玉は、顧客の遊技の結果得られた遊技球の一時的預り、または景品への交換が未了なものであり、パチンコホール企業からみてパチンコホール企業側の負債と認識される。
パチンコホールが顧客に対し貯玉による再プレイを認めている場合であっても、顧客の遊技の勝ち負けを無視すると、最終的には景品交換へ帰着する。このため、貯玉は景品の預りと見做し、貯玉数を景品原価率で評価する。
貯玉数量に景品原価率を乗じた金額をもって、貯玉預り金として負債を認識する。最終的には景品交換に帰着するため、将来の景品交換、すなわち、顧客に払い出された景品の保管と解されるため、貯玉売上原価として費用処理を行う。
貯玉自体はパチンコホールの営業日ごとに行われているが、会計上は見積原価の計上であるため、月次単位で実施すれば足る。
貯玉の引き出しにより再プレイが実施可能な遊技場がある。顧客は再プレイにより遊技が可能であり、パチンコホールの稼動に影響を及ぼすものの、遊技球を貸し出すという行為は存在しない。遊技球の貸し出しを以って売上を認識するという売上計上基準との整合性から、再プレイによる売上等は認識せず、貯玉の減少という負債の減少とする。
- 遊技機の取得支出
我が国における有形固定資産の会計処理は、税法の規定の適用が広く行われている。会社運営に必要な資産を取得した場合、自主的な規則により資産計上と費用化をした場合、税法における取得時損金経理可能な少額減価償却資産の金額的基準、減価償却計算における税法対象年数との関係から、税務申告上の調整手続が煩雑化すること等が主な事由であると考えられる。
有形固定資産の会計処理を税法の規定に従えば、使用可能期間が1年未満又は取得価額10万円未満の資産は取得時費用処理(損金経理)、取得価額10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産として3年間償却、取得価額20万円以上の資産は税法耐用年数に従い減価償却を行うこととなる。
これを遊技機に適用するなら、パチンコ遊技機の税法耐用年数は2年、スロットマシンは3年となるため、使用可能期間が1年未満又は取得価額10万円未満の遊技機は取得時費用処理(損金経理)、取得価額20万円以上の遊技機は税法耐用年数に従い減価償却、取得価額10万円以上20万円未満の遊技機は一括償却資産として3年間償却又は取得価額10万円以上の遊技機は税法耐用年数に従い減価償却することとなる。
企業会計における有形固定資産の費用化に関する考え方とし、減価償却は固定資産の適正な原価配分を行うことにより、損益計算を適正にならしめることを主たる目的とし、合理的に決定された一定の方式に従い、毎期計画的、規則的に実施されなければならない。これを正規の減価償却といい、税法規定に依存することなく、一般に公正妥当と認められる減価償却の基準に基づき、自主的に行われるべきであるとある。この減価償却の要素である耐用年数は、資産の物理的使用可能期間ではなく、経済的使用可能予測期間に見合ったものが要求され、資産の使用状況、環境変化等により当初予定にする残存耐用年数と現在以降の経済的使用可能予測期間との乖離が明らかとなったときは、耐用年数を変更しなければならないとする。
遊技機、特にパチンコ遊技機の販売価格の推移を考察すると、税法規定により取得時損金経理が認められる少額減価償却資産(現行の規定では、使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満であるもの)の取得価額基準と密接な関係があった。この関係とは少額減価償却資産の取得価額基準が引き上げられる都度、遊技機の販売価格がこの取得価額基準の範囲内で上昇している傾向である。税務当局が遊技機を使用可能とする島設備を含めた構成を単位に減価償却資産の単位として捉えるのではなく、遊技機1台を1単位と捉えるため、パチンコホール企業が遊技機の入替費用を税法上の損金経理が可能なような価格設定をしてきたことにある。なお、平成10年度税制改正により少額減価償却資産の取得価額基準の引き下げと一括償却資産の導入により、遊技機メーカー側も販売価格を少額減価償却資産の取得価額基準に合わせることをせず、液晶の大型化や画像ソフトウェアの高度化などにより販売価格を引き上げることとなった。これにより税法規定に従い会計処理を行うと遊技機が取得価額によって、税法耐用年数により償却計算される有形固定資産、3年均等償却される一括償却資産、即時費用化される少額減価償却資産に分類されることとなり、パチンコホール企業の遊技機に関する会計実務が多様化することとなった。
以上のようなパチンコホール企業における遊技機の取得と費用化の方法の多様化を前提に、遊技機の取得支出の会計処理を以下のように考察し、検討を行った。
第一に、パチンコホール企業にとって、遊技機購入に充てる支出は多大であり、いかなる会計処理を選択するかにより、財務諸表が表現する財政状態及び経営成績が大きく異なる。企業の財政状態及び経営成績を表現する財務諸表は、当該企業のステイクファクターの利害調整の機能を有している。公開企業を前提とすると、ステイクファクターとして投資家が存在する。投資家にとっての財務諸表の有用性なものとするためには、財務諸表の比較可能性を確保することが必要不可欠である。特に情報開示の観点から会計基準は企業の経済的活動を適切に表現することの他に、企業間の財務諸表の比較可能性を担保し、これら財務諸表を投資家が活用しやすい環境を提供することが社会的要請として期待される。このため、会計処理方法の相違による比較可能性の欠如を補完することが会計基準に求められる。遊技機に関する会計処理の現状追認するのではなく、あるべき原則的会計処理を定め、容認可能な会計処理とこれを採用した場合の財務諸表の比較可能性を保持する手段を規定することとした。
第二に、パチンコホール業界の営業の現状を考察すると、パチンコホール側の遊技機の入替により集客を狙う、一種の営業費用的側面と遊技機製造会社の新機種販売の短期化により遊技機の短命化の傾向にある。遊技機の経済的使用期間(遊技機の店内設置・営業供用開始から撤去・営業供用終了までの期間)が1年内である。遊技機の経済的使用期間が1年内という事実から経済的使用可能予測期間も1年間とするのが、論理的帰結であり、営業への供用開始後1年内に費用化されることが、保守主義の観点から判断し妥当である。
第三に、遊技機は、その射幸性の基準の相違等により遊技機をパチンコホールの営業に使用可能な検定期間等が現実の問題として存在しており、パチンコホール側の意思とは無関係に検定切れ遊技機等は強制的に撤去せざるを得ない。パチンコホールは集客のため、稼働状況の悪い遊技機を新しい遊技機に変更し、集客の維持・向上に努めるが、この取得された遊技機が近い将来に検定切れが明らかな場合は、経済的使用可能期間は検定切れ日までであり、税法の定める法定耐用年数とは異なることは明らかである。経済的使用可能期間の算定が遊技機の機種やその導入時期により異なるのは、会計処理等を煩雑にする。また、近い将来検定切れ等撤去が予定される遊技機の取得と費用化を、資産計上し、法定耐用年数で減価償却する場合、財務諸表の利用者の誤解を招くおそれがある。
第四に、経済社会において資産性の判断基準としての清算価値の観点から遊技機を考察する。遊技機はその営業における使用期間の短命さ、人気機種の市場における台数の多さによる希少性の欠如などが認められる。よって、中古機としての販売価格にプレミア的価値が付くことが極めて稀であり、パチンコホールに設置された遊技機の経済的処分価値は、転売価値のないスクラップ価値に過ぎない。このため、金融機関に代表される経済社会の視点からは、遊技機の資産としての財産的価値を認識しない風潮にある。
以上より、パチンコホール企業の継続性を保持した上で、潜在的投資家を含む一般投資家保護に資するため、遊技機の会計処理として、営業供用時に取得価額全額を費用処理することを原則的処理とした。
例外的処理として、合理的な理由、あるいはこれまでの会計処理の継続性との関係から資産計上処理を行うことを容認した。例外的な会計処理を採用する場合は、原則的な会計処理方法との比較可能性を保持することが必要である。原則的方法と比較可能性を保持するため、例外的な会計処理を採用する場合は、遊技機の除廃却に係る損失は営業費用として売上原価に計上すること、遊技機の減価償却費を売上原価に計上すること、遊技機を貸借対照表上独立掲記し、附属明細書等において遊技機の明細を独立記載することを条件とする。
なお、会計処理は経済的事実を的確に表現するものであり、会計処理基準は財務諸表が企業の経済活動を的確に表現するための方法を規定するものである。会計処理基準の原則として営業供用時取得価額全額費用処化を求めるが、遊技機の経済的使用可能期間の実態を考慮し判断したものであって、遊技機の入替頻度の短期化や遊技機自体もしくは遊技機の入替により顧客の射幸心を煽るものではない。将来、遊技機の経済的使用可能期間が射幸性の低減やその他事由により数年間使用できることとなり、その実績が認められることとなった場合には、会計処理基準の原則的な方法を変更することの検討の余地を排除するものでもない。
- リース資産
遊技機をリース契約により取得する場合がある。同機能の遊技機を使用するが、その取得形態の相違により会計処理が異なり、営業利益が相違することは妥当か考察が必要となる。
リース契約による賃借料は当然、遊技機を購入した場合の費用と同一に扱われるが、賃借料を支払いという事実により費用化するならば、購入の場合と比して会計期間における費用が過少となる。また、経済的使用期間が1年内である遊技機のリースは、途中解約が想定され、リース解約損害金が発生する場合がある。これを経済的使用期間が税法耐用年数とほぼ等しいリース契約による資産と同様、特別損失とするならば、購入した場合と比して営業利益が大きくなることとなる。リース契約による賃借料の支払時費用化を認めるならば、リース解約損害金はリース賃借料と同じ区分で費用化されなければならない。
リース契約による遊技機の取得について、賃借料を支払時費用化とすると、リース契約による遊技機には、税法基準による減価償却を容認していることとなる。リース契約は資産の取得と資金調達を同時に行う行為を解されるが、取得のための資金調達の相違により費用金額が異なるのは、企業間の比較可能性の見地から望ましいものといえない。
よって、遊技機取得に関する費用認識を統一し、企業間の資金調達の方法の相違による企業間の比較可能性の不明瞭さを排除するため、リース契約により取得した遊技機は、リース資産を取得し、営業の用に供された時点で費用処理することを原則とする。
なお、遊技機を購入により取得した場合、例外的会計処理、すなわち、合理的な理由、あるいはこれまでの会計処理の継続性との関係から資産計上処理を行う場合、リース契約による遊技機の取得の会計処理をリース債務の支払時(あるいは役務提供受容時)に費用化することを例外的処理として容認する。ただし、遊技機を購入した場合との比較可能性の見地から、リース費用を売上原価とすること、リース解約損を売上原価とすること、リース関係注記において遊技機を独立掲記することなどを求める。
- 売上原価
パチンコホールは、店舗に設置した遊技機を顧客に遊技させる目的で、遊技球を貸し出し、顧客の遊技の結果に応じて景品と交換することを業として行っている。景品交換により提供する役務が終了するが、この景品を提供することがパチンコホールの営業目的とはいえないため、景品交換が物品の販売として認識することは正しくない。顧客に遊技機による遊技の場を提供する店舗設置・装置型レジャーサービス業である。このような物品の販売を伴わない役務の提供を業とする場合、売上高と個別的な対応関係にある費用は少なく、売上原価を売上高1単位に比例して発生する費用を狭く捉えると、サービス業においては売上原価が発生しないこととなる。
パチンコホールが顧客に遊技の場を提供するためには、顧客に提供する景品に係る費用、店舗設備の構築・維持に係る費用、遊技機の設置と機能維持に係る費用、これらを営業状態で稼動させるための費用、店舗運営に必要な労働力の対価などが不可欠である。よって、パチンコホール企業における売上原価は、顧客に遊技の場を提供するサービスに係る一切の費用により構成されるべきである。
パチンコホール企業では、売上原価は営業収益を獲得するため「顧客に遊技機を遊技させるために直接必要とされる費用」であり、パチンコホールの日常の営業において必要不可欠な費用である。顧客に直接サービスを提供するものではないが、パチンコホールの営業を支援する費用が販売費及び一般管理費である。
- 売上計上基準
- PTBによるパチンコホール統一会計基準
- 売上
- 売上計上基準
客にパチンコ玉又はスロットコイン(以下、「遊技球」という。)を提供した時点(「貸玉」という。)で売上を認識し、その対価をもって売上金額とする。
- 売上計上基準
- 売上原価
- 定義 店舗運営に関する一切の費用をもって売上原価とする。
- 構成要素
売上原価は次の要素から構成される。
- 景品原価
- 労務費
- 遊技機関連費用
- 設備費
- 運営経費
- その他
- 景品原価
- 客に提供した景品払出金額をもって景品原価とする。
- 景品原価は次の式により算定することができる。
- 労務費
- 労務費とは、店舗従業員の労働対価をいう。
- 労務費は次の要素により構成される。
- 給料手当
- 雑給
- 賞与
- 退職給付費用
- 法定福利費
- 福利厚生費
- その他店舗従業員に関する費用
- 遊技機関連費用
- パチンコ遊技機又はスロット遊技機(以下、「遊技機」という。)関連費用とは、遊技機の設置、運用、保管、除却等に関する費用をいう。
- 遊技機関連費用は次の要素により構成される。
- 遊技機の取得費用及び賃借料
- 遊技機の設置に要する費用
- 遊技機の機能維持に要する費用
- 遊技機の保管に関する費用
- 遊技機の除却・廃却に係る費用
- 設備費
- 設備費とは、遊技機以外の店舗設備等の維持等に関する費用をいう。
- 遊技機以外の店舗設備等は、次のとおりである。
- 店舗用地
- 店舗建物
- 駐車場
- 営業設備
- 事務用設備
- その他店舗運営に使用する設備等
- 設備費は次の要素により構成される。
- 賃借料
- 減価償却費
- 修繕費
- 営業用システム使用料
- 遊技球に関する支出
- その他設備を維持するため発生する費用
- 運営経費
- 運営経費は、店舗を運営するための費用をいう。
- 運営経費は、次の要素により構成される。
- 水道光熱費
- 交際費・会議費
- 広告宣伝費
- 諸会費
- 営業用システムの運用費用
- 外部から賃借している店舗情報システムについては、システム賃借料、データ管理費等発生内容に応じて処理することは実務上煩雑であるため、費用発生の実態に応じて、設備費あるいは運営経費のいずれかに計上することができる。
- 運営経費で認識すべき費用は、全社で行うものではなく、店舗自体が個別に実施する費用をいう。
- その他売上原価
景品原価、労務費、遊技機関連費用、設備費、運営経費以外に発生する店舗営業に必要な支出は、これを売上原価とする。
- プリペイドカード
- 自社発行型プリペイドカードの会計処理
- 販売時の会計処理
プリペイドカードの販売は客からの貸玉料の前受けである。 - 売上の認識
客がプリペイドカードにより貸玉を受けた時点で、売上を認識する
- 販売時の会計処理
- 第三者発行型プリペイドカードの会計処理
- プリペイドカード購入時
発行会社からプリペイドカードの購入時に購入価額をもってプリペイドカード勘定とする。 - プリペイドカード売却時
客にプリペイドカードを売却時、プリペイド・カード勘定の減少とする。 - 売上の認識
客がプリペイド・カードにより貸玉を受けた時点で売上を認識すると同時に発行会社の未収債権を認識する。
- プリペイドカード購入時
- 自社発行型プリペイドカードの会計処理
- 貯玉
- 用語の定義
「貯玉」とは、客が遊技の結果得た遊技球をパチンコホールへ預ける行為をいう。客が貯玉した遊技球を引き出し、当該遊技球により遊技を行うことを貯玉の「再プレイ」という。 - 貯玉による債務の認識
- (1)貯玉残高数量に景品原価率を乗じた金額をもって、貯玉預り金とする。
- (2)貯玉預り金は貯玉原価として売上原価に算入する。
- 再プレイ時の会計処理
貯玉における再プレイについては、売上を認識しない。
- 用語の定義
- 遊技機
- 取得時の会計処理
- 遊技機は、営業供用時に取得価額をもって費用処理する。
- 遊技機を資産計上する合理的な理由等が認められる場合には、資産計上することを容認する。
- 容認規定採用時の会計処理等
- 遊技機の取得を資産計上した場合は次のとおりとする。
- 遊技機の減価償却費、除廃却損等を売上原価に計上する。
- 遊技機を貸借対照表(附属明細等を含む)に独立掲記する。
- 遊技機の取得を資産計上した場合は次のとおりとする。
- 取得価額の構成要素
- 遊技機の取得価額は、次の要素から構成される。
- 遊技機の購入代価
- 遊技機の引取運賃
- 遊技機の入替申請に係る書類作成費用
- その他遊技機の取得並びに稼動に不可避な支出
- 遊技機の取得価額は、次の要素から構成される。
- リースによる取得
- リース契約による遊技機の取得は、リース資産の取得相当額を営業供用時に費用処理し、残リース料を未払計上する。
- 遊技機を購入により取得し、容認規定により会計処理を実施した場合、リース債務の支払時あるいは役務提供受容時に費用処理を行うことを容認する。
- リースによる取得:容認規定採用時処理
遊技機のリース取引を容認規定を採用した場合は、次の会計処理を行う。- 遊技機のリース費用は売上原価とする。
- 遊技機のリース契約解除に伴うリース解約損等は売上原価とする。
- リース契約による遊技機の取得価額相当額、減価償却累計額相当額、期末残高相当額、未経過リース料期末残高相当額を注記する。またはリース関係の注記等に遊技機を独立掲記する。
- 取得時の会計処理
- 実施時期等 平成19年4月1日以降開始事業年度より発効する。
- 売上